えにし

人生フルーツのえにしのレビュー・感想・評価

人生フルーツ(2016年製作の映画)
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津端修一さんと英子さん。為せば成る、を地で行くような人たちだと思った。緑あふれる理想のニュータウンをつくれなかった悲しみの反動が堆積し、彼らの自宅に小さな森を生ませた。春は芽吹き、夏は実がなり、秋は色づき、冬は枯葉が落ちる。そしてその枯葉が堆肥となってまた花を開かせる。巡る季節のなか、自然と調和しながら生きていく彼らの姿が、ただただ尊い。彼の後輩が言うように、組織人としてはまるでだめな人なのだろうが、ただそこに在る今日を自分の手で彩り、自分の律動で生きていくという意味では、彼は真にデザイナーなのだと思う。変わり続ける景色に、変わらぬ日々を描き続けることが人生なのだと、改めて気づかせてくれた。
毎年この季節になるとおめめかゆかゆ涙じわじわお鼻ズビズビ喉ガラガラの四重苦を味わうことになるが、あろうことかアレジ◯ンを飲んでくるのを忘れてしまったのに加え、ふたりの生活のリズムが愛しくて、涙と洟で顔面がベチャベチャになってしまった(ちゃんと拭いた)。ジャンル分けできない涙だった。
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