a

人生フルーツのaのレビュー・感想・評価

人生フルーツ(2016年製作の映画)
5.0
もう何年も観たくて、機会に恵まれず。5年越しの想いが実りみることができた。
冒頭でもう私の涙腺は崩壊した訳だが、今は上映後に貰ったパンフレットを眺めるだけで、涙が出てしまう。そのくらい、心にじんわり、あったかいものが流れる感覚を味わうことができた。
戦後、産業革命や高度経済成長期を迎え、自然とはかけ離れた無機質な街並みが、人のためとされてきた時代。それ以降の日本は、ずっと無機質なように感じる。行き過ぎた資本主義社会は、人の心を蝕んだ。「お金のための労働」が「家族のため」と、そんな風に思い込んだ人間は、心だけじゃなく、自然も、生き物の命も奪ってきた。
しかし、偉大なる自然に逆らうことを許さなかった修一さんは、スローライフを早い段階からはじめる。そして、秀子さんと家族は、それを認め、共に生きてきた。
三種の神器が発明されてから、女性の家事時間はグッと減少したという。それでも未だに女性が社会進出に苦しむのは、どうしてだろう?
男性が出産や育児に手が回らないのは、なぜだろう?
未だに気候危機を、嘘偽りだとホラ吹く人がいるのはなぜだろう?
本当の豊かさって、どこにある?
このご夫婦のアナキズムが垣間見れる瞬間が堪らなかった。
人生はフルーツ。
ときをためて、これからのことを考えたい。
悩む暇なんてない。人生は短い。
お金より土壌の豊かさを、みずみずしい心のやりとりを、人間らしさを取り戻したい。
人生は長く生きるほど、美しいし、美しくなっていくのだろう。
たまらない、時間をもらった気がした。
a

a