鬱屈とした日々の中、一匹の狼に出会ったことによって覚醒する動物としての本能(狼が彼女の本能のメタファーでもあるのだろう)。次第に野性的行動をするようになる彼女、傍目から見れば狂気を感じるが当の本人は何かから解放されたような幸福感さえ覚えている。ストーリーが進むにつれて生き生きとしてくる彼女が全てを物語る。
狼との関係性と彼女の心情の推移、そこには何とも形容し難い一つのカタチが生まれそれを何と名付け何と呼べば良いのだろう。本能とは突き詰めれば純粋なもの、純粋な衝動や感情をひたむきに狼に向ける彼女はただただ純粋で真っ直ぐで愚かしい。愚かしさゆえに純愛なのだろうか。
究極の寂しさは究極の愛を生む。