えにし

名前のえにしのレビュー・感想・評価

名前(2018年製作の映画)
1.5
かたや名前を偽り本当の自分から目を背け続けた男、かたや本音に蓋をして嘘の自分を演じ続けた少女。似たものどうしの二人の邂逅は互いの欺瞞を照らすやわらかな光となった——みたいなことを書きたかった。けどダメだった。めちゃくちゃ強気なタイトルに惹かれて観てみたけれど、残念ながら内容が『名前』負けしてますよ、と思った。いろいろ言いたいことはあるけれど、いちばんアカンのは正男が笑子を受け入れるようになる過程が省かれ過ぎなところ。正男が偽名を使ってることや職場の従業員に対して嘘を吐いてることまで知っているなんていくらかわいい女子高生でも怖すぎでしょ。なぜ自分につきまとうのか笑子がなかなか答えてくれないのに、何度も家に上げたり一緒に飯食ったり釣りやボーリングしたりする正男はちょっと危機管理能力と倫理観に欠け過ぎてる。こんなとこにいないではやく親御さんのところに帰れよって言って追い出すのが自然だろ、まぁそうしたら話が進まないけど。笑子の執着の理由は後半明かされるけれど、この時点では二人は赤の他人であって、正男が笑子に心を開く理由となる描写がなさ過ぎる。「〜過ぎ」を使い過ぎだけどこれだけ過剰に言わないと正男のヤバさが伝わらん。捨てられたゴミに水ぶっかけてたシーンとか何回も挟まれるトルコ行進曲の鼻歌とか何か意味あんの?
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