このレビューはネタバレを含みます
道尾さん原案ということでずっと観たかった今作。駒井蓮も密かにファンだったので、さてどうなるか。
各人物の視点から物語を紡ぐ作品が好きなので、章分けされている時点でテンションが上がりました。中村正男のパートから笑子のパートへと変わったとき、キタキターってなりました。
今回、謎が幾つかありまして。
中村正男はなぜ名前を複数持ち暮らしているのか。仏壇は一体誰のものなのか。中村正男は笑子の本当の父親なのか。そしてタイトル「名前」の意味。
結論から述べると、「名前」というタイトルに飲まれた面があるかなと思います。
名前にまつわる仕掛けが何かあるんだろうなと思い観ていたのですが、その目線はこの物語上、ノイズになっていました。
なにか他のタイトルであれば、あるいは2人のドラマへ注視できたかもしれません。
中村正男目線で、もう少し名前を複数持つ理由を内面的に描いて欲しかったのと、
笑子との関係が明らかになる瞬間についてもう少し工夫が欲しかったです。
父親だと思っている人に父親じゃないと言われると衝撃だと思うのです。ところが今作では母親に真実を明かされる部分を映すという形をとっており、これは中村正男と笑子の2人の衝突を描かないという選択をとったということ。
そこは映して欲しかった。ジワーッと実の父が死んでいるというのを知るより、笑子と同じタイミングで衝撃的に知りたかったなあ。
これは好みの問題なので、アレなんですが。
全体的にちょっと優し過ぎたかなと。
万引きしたところとか、母親との関係の描き方や部活の仲間との衝突と和解がステレオタイプなところとか、そう、ステレオタイプな描写が多かったのが気になったところです!
もっと奇妙な関係なんだから、もっと変でよかった。期待し過ぎたかもしれない。
でも最後の台詞はよかったと思います。
支離滅裂な感想になってしまった。