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ニーゼと光のアトリエのodyssのレビュー・感想・評価

ニーゼと光のアトリエ(2015年製作の映画)
3.7
【精神病患者の扱い方】

ブラジル映画、ホベルト・ベリネール監督作品。原題は"NISE: O CORACAO DA LOUCURA"(ニーゼ:狂気の心)。

1940年代のブラジルに実在した女医を描いた映画である。

女医ニーゼは、精神病の患者の治療法を模索していた。
当時行われていたロボトミー手術や電気ショック療法に疑問を抱いた彼女は、患者に寄り添った平和的な治療法として、絵を描かせたり、ペットを育てさせたりといった方法を考案して実践する。同僚の妨害などもあったが、患者が描いた絵は専門的な美術評論家からも評価され・・・

精神病の治療法というのも時代による変遷が大きいようで、私も遠いむかし、1970年代終わり頃、母校の助手をしていた時代に、大学院生のひとりが精神に失調を来して大学病院に入院したので見舞いに行ったところ、精神病の階だけはエレベータとその階との境目に扉があり、その扉に鍵がかかっていて勝手に出入りできないようになっており、中の雰囲気もちょっと独特で、「こういうところに入るとかえって悪くなるのでは」と思ったことがある。

精神病を完全に治すのは1940年代当時は(或いは今も?)容易ではなかっただろう。
そうした中にあってあくまで患者に寄り添う(患者が楽に生きていける)治療法を模索した女医の物語には一見の価値があろう。

精神病とは何なのかを考えるためにも、一見の価値がある。
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