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残像のodyssのレビュー・感想・評価

残像(2016年製作の映画)
3.5
【実在の画家を描いたワイダ監督の遺作】

ポーランド映画界を代表する存在だったワイダ監督の遺作。

第二次世界大戦後のポーランドを舞台に、抽象画家であり芸術大学教授でもあったヴワディスワフ・ストゥシェミンスキの後半生を取り上げている。

当時のポーランドはソ連の締めつけで、芸術に関しては社会主義リアリズムの作品のみが認められていた。

こうした状況下、ストゥシェミンスキが独特の芸術理論で画学生たちから慕われながら、当局の圧力で作品の公表ができなくなり、大学から追われ、美術から離れた仕事すら禁じられるようになっていく様子が克明に描かれている。

対象をひたすら追っているので、やや単調な感じもあるが、困難な時代に生きた芸術家の姿が鮮明に捉えられている。

パンフレットには教えられるところの多い文章がいくつか載っているけど、綿井健陽(ジャーナリスト・映画監督)が日本の政治状況とこの映画を安易にリンクさせた駄文を載せているのが玉に瑕。日本の映画関係者ってどうしてこうも知性が低いのだろうか。

偏差値65以上の大学を出た人間しか映画監督にはなれない・・・てな制度にできないものか(笑)?
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