MasaichiYaguchi

タリーと私の秘密の時間のMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

タリーと私の秘密の時間(2018年製作の映画)
3.5

ジェイソン・ライトマン監督が「ヤング≒アダルト」で主演したシャリーズ・セロンと再タッグを組んで描くのは、三人の子どもを抱えて家事や育児に疲弊した女性の再生物語。
セロンは本作のヒロイン・マーロを演じるにあたってその美貌を封印し、18キロ近く体重を増やして日々の生活に疲れた主婦を体現している。
マーロは三人目を授かる前までは、仕事と家事・育児を完璧に両立させてきた女性だが、もう一人子どもが増えたことでオーバーフローして心身共に追い込まれていく。
微力ではあるが育児に協力した私でも出産前後の悩みや大変さを汲み取ることは出来ないが、同じ経験をした女性なら本作に共感する部分は多いと思う。
今まで完璧にこなしてきたからこそ、マーロが抱く自分自身や周りの者に対するイライラは募るばかりで育児ノイローゼ寸前。
そんな彼女に救いの手を差し伸べたのが、夜だけのベビーシッター・タリー。
タリーは今時の若い女性なのだが、外見とは裏腹にマーロの期待以上の〝仕事〟をして彼女を心身共にケアしていく。
このマーロとタリーとの触れ合いが本作の〝肝〟なのだが、謎めいたプロフィールのタリーの〝正体〟が終盤のアクシデントで明らかになる。
果たしてマーロは産後クライシスから抜け出せるのか?
ライトマン監督は、本作を「JUNOジュノ」「ヤング≒アダルト」に続く三部作の最終章と述べているが、人生の三つの異なるステージにいる女性たちの幸せ探しの物語は共感を呼びながらも、自らの人生を見詰め直したくなります。