Lily

オリエント急行殺人事件のLilyのレビュー・感想・評価

オリエント急行殺人事件(2017年製作の映画)
4.3
誰もが知っているオリエント急行殺人事件のケネス・ブラナー的新解釈、といったイメージの映画。
あと、現代的解釈というか、作中や作品が書かれた当時というよりは、かなり現代的な価値観に基づいて描いているように思った。アメリカのオーディエンスをメインに意識して撮った映画なのかなーという、個人的な印象。

今作でのポアロは、結構アクティブというかアグレッシブというか。
昔のTVシリーズ版のポアロのイメージがあったので、新鮮な感じがした。
お茶目さんながら、善悪の価値基準が確立されており、悪は絶対に許せない(許されない)。というポアロの性格(設定)が、この事件の真相や結末でかなり挑戦されることになるのが、作り方として上手いなぁと思うところ。
名優ぞろいなだけあって、表現力豊かな映像。
回想を白黒で映写機上映のように、進行形の物語を美しいカラーでと描き分ける演出が好き。

現代的解釈と感じたのは、差別意識に対するメッセージや、ポアロの価値観と結末によって暗示される正義とは、善悪とはというオーディエンスへの問いかけ。

ストーリーも結末も犯人も、オーディエンスのほとんどが知っているであろう有名作を、ケネス・ブラナーがどう撮るのかとても楽しみだったのだけれど、期待を裏切らない面白さだった。
すべて知っていてなお、新しい要素と共に楽しめる映画は、良いものだと思う。
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