Monsieurおむすび

パリ、ピガール広場のMonsieurおむすびのネタバレレビュー・内容・結末

パリ、ピガール広場(2016年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

パリ18区、ピガール広場を中心とした歓楽街を舞台に、仮出所中の奔放な弟とカフェを経営する寡黙な兄のすれ違う生き様を描いたドラマ。
ドキュメンタリーのようなタッチには兄弟の日常のみならず、移民や浮浪者の様子も描かれ、観光で訪れる煌びやかなパリとは違う、アンダーグラウンドさが全面に押し出されている。

物語はR.カティブ演じる弟ナスの兄に対する愛憎や憧憬、自分という人間への期待。失ってしまった時間や変わりゆく街への想いが、人生に疲弊しきった兄に不器用にぶつけられていき、胸を締めつける。

お互いにある種の安らぎを得て、穏やかな表情で談笑するラストには救われた。

監督はヒップホップグループのメンバーだと言うが、作中に同ジャンルの楽曲は使用されていなかった。意図は不明だが、本職とは違う映像を軸とした映画で伝えたかったメッセージがあったのだろうし、それは其処で生きる者でしか感じ得ない特別なモノなのだろうと思う。
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