ヒロ

台北ストーリーのヒロのレビュー・感想・評価

台北ストーリー(1985年製作の映画)
3.8
【ネオンとタバコとバイク】
不意に観た『カップルズ』のキスシーンに一目惚れ、次に観た『ヤンヤン 夏の思い出』に心を鷲掴みにされ、『恐怖分子』でとどめを刺された。
一生付いて行くことに決めた数少ない監督のうちの一人!そんなエドワード・ヤン作品が日本初上陸!しかも配給なし?と思いきや、つい先日配給も決まったようで一安心。

今作のストーリーは、元プロ野球選手という過去の栄光にすがりつきなかなか前に踏み出せない主人公(ホウ・シャオシェン)が故郷に帰り恋人(ヤンの実の妻)と再会し、恋人の不倫相手、過去の女、恋人の妹・・・etcを巻き込んで展開する台北が舞台のノスタルジックな群像劇。

ファーストカットからエドワード・ヤン!
『恐怖分子』を彷彿とさせる、大きい窓から差し込む朝日を見つめる男と女。綺麗すぎて綺麗すぎて。
『カップルズ』を彷彿とさせる、光り輝くネオンを浴びて若者たちがバイクを乗り回すシーンは彼の十八番です!身体に染みてきます笑。
そして今作最高のカットは、真っ暗な闇を切り裂くように揺れ動く光に照らされたタバコの煙!
煙の使い方と撮り方に痺れました(OvO)
今なら喫煙者になれそうです笑。劇中に出てきたチャップリンの灰皿も買いそうです笑。

とまあ上記した絵画のようなカットがゆっく〜り、そして着実に積み重なり、ノスタルジーという湯の中に一度入ってしまった観客は二度と出られないわけです。
これを手本に、ホウ・シャオシェンやツァイ・ミンリャンらが活躍し、台湾ニューシネマという大ウェーブ?が起きたわけです!
そんなエドワード・ヤン伝説の作品『クーリンチェ少年殺人事件』のデジタル・リマスター版が2017年公開ということで嬉死にしそうです笑。

【第17回 東京フィルメックス】

2016-269
ヒロ

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