1930年代、差別的な扱いを受けていた先住民族「サーミ人」の少女エレは、ある少年との出会いから血を偽って生きる決意をする。
もし自分が生まれた時から二級市民として生きることを決められていたら…
歩くだけで暴言を吐かれ、興味から研究対象にされ、進学を望んでも「脳が小さいから文明社会に適応できない」なんて言われたらエレのように自分の中に流れる血を嫌うと思う。
エレが間違っていたとは思わない。
しかし、やはりお母さんや妹の気持ちを考えるとどうしようもなく胸が痛む。
ただエレはエレの、妹は妹の、大切なものを守りたかっただけなのに。
もちろん、お母さんだってそうだ。
驚くべきは監督自身もサーミ人、役者にもサーミ人役には実際のサーミ人を起用する徹底さ。
エレを演じたレーネ=セシリア・スパルロクは普段、この作品で描かれているようにノルウェーでトナカイと共に暮らしているらしい。
それだけに、当たり前だけど、サーミ人の生活がとても自然かつ細かく描かれていた。
おそらくあまり広く知られていないであろうサーミ人の悲しい闘いの歴史…
この作品を通して少しでも多くの人に知ってもらいたい、知ってもらうべきだと思う。