たま

空海 ーKU-KAIー 美しき王妃の謎のたまのレビュー・感想・評価

3.0
チェン・カイコーで夢枕獏という、目に見える餌に釣られて初日鑑賞。

ティザー観て角川映画臭するなあと思ってたら本当に角川映画で笑う。未だに中国古典モノに英語テーマソング当てるセンスなんですね。テーマソングは英語にしかできない呪いにでもかかってるの?(失笑)。

前半空海主役として観てたけどいつのまにかネコ映画になっていた。原題「妖猫傳」だもんね。

唐の玄宗と楊貴妃の時代を表した美術は煌びやかだけど、彩度の高いシャラシャラした質感のCGにより夢枕獏の幻想的な筆から少し遠かった気がする。空海は(4巻にわたる原作を2時間に押し込めたせいで)今作では飄々とした佇まいの観察者に終始。ネコがフルCGであったこともあって作品を通して妖魔風味は春琴吹き替えの沢城みゆき嬢が一手に引き受けてる感があって、もう少し妖魔跋扈の雰囲気が欲しかったな(そう考えると「陰陽師」シリーズの野村萬斎のモノノ怪感は文化遺産だと思う)。しかしながらストーリーの根底にある愛憎の物語の描き方はさすが陳凱歌であり、しかもそれがあざといことにネコの形をしており、切なさ爆発。あの少ないエピソードであのCGでしっかり感情移入できるのは脚本と画の力だよなあ。
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