ゆみモン

無頼無法の徒 さぶのゆみモンのレビュー・感想・評価

無頼無法の徒 さぶ(1964年製作の映画)
3.6
言わずとしれた山本周五郎の名作『さぶ』の映画化。

『無頼無法の徒 さぶ』というタイトルだが、「さぶ」は吃りで愚鈍な青年で、無頼無法の徒ではない。そのまま『さぶ』で良かった。

英二(小林旭)は仕事も出来て二枚目で、さぶに憧れられ頼られる存在だが、やはりさぶの心の奥底には妬みや憎しみが潜んでいたのだ。
好青年風の英二も、盗人の濡れ衣を着せられてからは荒くれ者のようになってしまう。自分に罪を着せたのがさぶだと言われればやむを得ないか…。

石川島人足場での描写もなかなか…田中邦衛や小松方正などの役者が生きている。
放免になってからは、さぶの成長ぶりが表現されている。

長門裕之の演技力はさすがだ。小林旭のやや一本調子の演技をカバーしている。

妻夫木聡(さぶ)と藤原竜也(英二)の『さぶ』も見たが、さぶは長門裕之にかなわない。しかし、ラストシーンは新しい方が感動的だった気がする。