梅村

THE BATMAN-ザ・バットマンーの梅村のレビュー・感想・評価

3.9
良い意味でアメコミ映画感が薄く、どちらかと言えばいわゆるフィルム・ノワール的な要素が強い作品で、個人的には見易かったです。三時間近い上映時間もあまり気にならない。


劇場に行ってそれなりの頻度で映画を観る習慣がついたのがここ数年なので、どうしても既に豊富な作品世界が構築されてしまっている「DC」「マーベル」レーベルの作品鑑賞には二の足踏んでしまいます。多く原作になっているアメコミ自体が大概かなり歴史あるものが多いというのもあり、新規参入にはちょっと敷居の高さを感じてしまいますよね。元々自分が"ヒーローもの"に対して若干の苦手意識を抱いているというのもありますが。


そういう意味で、本作はまずこれ単体でも全然観られるという点においてとても有り難いです。ストーリーもアンチヒーロー的な視点を含んでいて一元的でないのが良い。劇場パンフレット等読むと『バットマン』シリーズ自体がそういう作風なんだそうですが(本当にその程度の知識量の人間が観た感想だと思って下さい。)、今作についてはある種の原点回帰志向で特にその色合いが強めであるとのこと。確かにヴィランのキャラクターそれ自体というより、主人公であるブルース・ウェインの心の暗部、ダークサイドとしての自意識と常に葛藤し続けるような、そことの戦いが常に主軸にある作品だったかなと思いますね。これは自分は褒めてるつもりなのですが、画面もずっと暗くて終始雨降り、主役は大体マスクで表情は殆ど窺えず、本当にヒーローらしい快活さとは徹底して縁遠いキャラクターの物語だなあと。勿論人によって大きく好みの別れる要素にはなるのかもしれないですが。


明言はされていないので未定ということなのでしょうが、作中で終盤匂わせもあったことですし、続編があれば是非観に行きたいなと思います。
梅村

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