梅村

猫は逃げたの梅村のレビュー・感想・評価

猫は逃げた(2021年製作の映画)
4.1
猫派です。猫好きです。
生まれてからずっと、出会ったり別れたり、何匹もの猫達と一緒に暮らしています。


トランプのジョーカーというのか、ワイルドカードというのか、猫って本当に不思議な生き物ですよね。良くも悪くも人間関係を掻き乱す。この作品みたいに、なんだかんだまるっと上手くいって大団円……とも現実には必ずしもならないんでしょうけど、複雑に絡みあった好きと嫌いの矢印を、全部自分の方へ引き寄せてしまうというか。当の猫本人は、きっとなんにも思ってない……こともないのかな。どうでしょう。自分も猫語がわかったら聞いてみたいなあ。


今泉力哉監督×城定秀夫監督第二弾ということで『愛なのに』に引き続き観てきました。
よくよく考えればW不倫のドロドロ話なのに、この良い意味で熱量に乏しい脱力感がコラボ前作と違う今泉さんのテイストだなあと。(パンフレットのインタビューにある『猫と庄造〜』より『ノラや』感、わかります。)本編では一番ヒールっぽい立ち回りの"泥棒猫で猫泥棒"な真実子(手島実優さん)ですら、一貫して憎たらしい印象は皆無で、寧ろいじらしくて愛らしく感じるのがとっても"らしい"です。アレルギー持ちなのもシンパシー。仕方ないですよね。猫可愛いですもんね。かまいたくなっちゃいますよね。


男の子なのに、作中の両ヒロインを凌駕するファムファタールっぷりを魅せつけてくれた「カンタ」こと猫役者のオセロくん。ファンになりましたよ。また別作品で会えるといいなと思ってます。(ちゃんとキャストに載っててボタンも押せるFilmarks、良いですね。)


昨年の夏、16歳でさよならをした愛猫の一人を偲びつつ。
梅村

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