けまろう

愛の喪失/ネヴァー・エヴァーのけまろうのネタバレレビュー・内容・結末

3.6

このレビューはネタバレを含みます

『ネヴァー・エヴァー』鑑賞。映画監督である夫レイを失ったパフォーマンスアーティストのローラが、家に巣食う人ならざるものとの交流を通じて、その孤独を克服していく話。多少ホラーのようなスリリングな場面が何度もあるが、この雰囲気は黒沢清監督の『ダゲレオタイプの女』のような、神秘的な恐怖だ。また、音楽のストリングスは武満徹を思わせる。
家の精霊は、レイやローラの姿として登場し、過去に吐いたセリフしか話せないという設定だ。レイの姿をした精霊にローラが愛情を表現するのは、その早すぎる死別のせいとも捉えられるし、自身よりもレイを理解していた女優のイザベルへの対抗心とも考えられる。実態のないものに対する愛情は、タルコフスキーの『惑星ソラリス』でも描かれていたことだ。
最後は自身のパフォーマンスとして夫の死を昇華していくのは、パフォーマンスアートを通じて夫と出逢ったことへの敬意も感じられる。展開が些か急だったか。
けまろう

けまろう