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サファリのmarikabraunのレビュー・感想・評価

サファリ(2016年製作の映画)
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パラダイス三部作から楽しみにしていたザイドルの新作をようやく。
「私はザイドルほどには地獄の部分を直視していない」とヘルツォークが仰る通り、自己正当化も甚だしい詭弁を並べながら娯楽として動物を殺すブルジョワの白人と、その死体を黙々と剥いでいく黒人の対比に暗い気持ちになり、キリンの解体シーンには思わず息を飲んだ。これがアフリカ諸国の一大観光資源なんて狂ってる、けど、私だって映画館を出る頃に本革のライダースを着ていたことに気付くわけで、一昨日の夜には胃もたれするほどひとりでステーキを食べていたわけで。そもそも人間は狂っているのだよ、とザイドルはいつも教えてくれる。相変わらずの皮肉と悪意、シンメトリーの構図、音楽に頼らず、人間の愚かさを静かに見据えるこの監督、やっぱり好きだな。
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