このレビューはネタバレを含みます
個人的には最後に捕まった方が皮肉が効いていていいかなと思いました。同じジョーダン・ピール監督の映画で言うと僕は『Us』の方が好きでしたが、負けず劣らずおもしろかったです。典型的な人種差別とは少し違った問題を扱った映画でした。クリスは一見すると受け入れられているような感じでしたが、「黒人だからといって差別はしない」という言葉に見て取れるように、ローズの親族は黒人であるクリスのことを異質なものとして捉えていました。こういう無意識の差別というか、深層心理にある差別意識みたいなものが描かれていました。ローズの親族が、黒人の生まれもった才能に憧れを抱いていることは間違いないと思いますが、その「黒人を尊敬してもいる」という事実が、隠れた差別意識をより大きくしているんだとも思いました。自分は正しいと信じてやまない人間は厄介です。こんなことをしたり顔で書いている僕も厄介なやつなのかもしれません。
