りっく

ゲット・アウトのりっくのレビュー・感想・評価

ゲット・アウト(2017年製作の映画)
3.5
冒頭ワンカットで夜道を歩く黒人のそれを静かに追いかける車との不穏さで幕を開ける本作は、差別をテーマにしたホラーでありコメディでもあるが、黒人を劣った存在ではなく、優れた存在として近寄る白人たちという、この手の差別を扱った従来の作品と真逆のベクトルで、だがそれも明らかに差別的であるという事実をエンターテイメントとして描いたのが成功のポイントであろう。

鹿のオブジェ、コーヒーカップ、手術の傷跡と不穏なアイテムやイメージを散りばめつつ、それをきちんと伏線として回収していく緻密かつ大胆な脚本も見事。結末を知っていて見返すと違った意味に捉えられる会話や場面がてんこ盛り。ただし、挨拶に行く一家を中心とした白人ブルジョアジーたちの恐るべきシステムが露呈されると途端に物語の推進力が減じてしまうのが勿体無い。
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