さよこ

キックスのさよこのレビュー・感想・評価

キックス(2016年製作の映画)
4.0

【ghetto(ゲットー)のリアルを感じる映画】

エアマックス狩りに遭った少年が命がけでスニーカーを取り返しに行く話。



①音楽が恰好良い
全編ブラックミュージックで溢れてて、音楽と映画の世界観がぴったりだった。Wu-Tang Clan流れて思わずニヤリ。他の楽曲も全部恰好良い。サントラ欲しいな。

②俳優陣が恰好良い
全員、素かと思うくらい自然な演技。特に叔父さんは、出てきた瞬間に空気がピリッと一変して迫力がすごい。思わず「本物のギャングをキャスティングしてるー!!」て前のめりになったほど。※映画「ムーンライト」に出てるちゃんとした俳優/マハーシャラ・アリでした(*'ω'*)

③家族が見えない
主人公、主人公の友人たちの親は一度も登場しない。出てくる親子はギャングの叔父さんとスニーカー狩りをしたろくでなしのフラコくらい。貧困層のエリアで生活する彼らは、親を介護し、子供を看病し、貧困そして犯罪と共存して生きている。犯罪で生計を立てる彼らのバックボーンを言葉なく演出だけで表しているのがなんだか切なく思えた。



道すがらに奪ったナイキのエアマックスを自分の子供にプレゼントし、まだあどけない子供にも拳銃を握らせる。俺たちは「搾取される側になってはいけない」とフラコはゲットー流の生きるスキルを子供に教え込む。それはそれで彼の環境から来る愛情表現なんだろうと思った。



黒人ゲットーたちの人間味、受け継がれる文化、メインのテーマではないけれど、その生活の一部を垣間見れた映画だった。面白かった。



12月にオープンしたアップリンク吉祥寺(写真はコチラ▶https://twitter.com/ribbon03_com/status/1080417236165128192?s=19)で鑑賞。
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