菜緒都

大殺陣の菜緒都のレビュー・感想・評価

大殺陣(1964年製作の映画)
4.0
ファーストショットから消失点ちょい右下のローアングルの雨で「工藤栄一きたー!」ってなった。
続く真横、真っ直ぐのショットの連続。このストイックさがやばい。
十三人の刺客を思い出す。屋敷内のショットがかっこよすぎ。
刀なめの固定の長回しもバシッと構図が決まっててかっこいい。

それとは対極の手持ちカメラにはびびった、すごい挑戦的に感じる。
クライマックスのガクガクの手持ちカメラやばい。カメラに水滴ついててやばかっこいい。臨場感。

他にも、寺院の最初のロウソクのショットとか、障子に映る影のシーンのカメラ横移動とかもかっこよすぎ。

長めの会話シーンでも構図バシッときめてるから固定カメラでも見惚れながら見れる。

全体的には「十三人の刺客」のそれぞれのキャラ立ての不平等さという問題点を明らかに意識しているように見えた。
が、個々のキャラのエピソードは少しエグすぎた。
市井の人々をちゃんと描いているのも十三人の刺客で指摘されたポイントorできなかったことなのかなーと推測。

地図シーンでは「またきた」と思ったが、今回は短めにしてあって、馬鹿な僕でもわかりやすかったのでよかった。
会議の時のそれぞれの顔のアップがめっちゃかっこよかった。

クライマックスでは黒澤感すら感じたが、1回じゃ全然何が起きてるかわからなかった。それがいいんだけど。
現代の、伏線が散りばめられた映画に慣れすぎているせいか、キャラのあの特徴が決戦でこう活きて来るのか!とかいう展開を無意識に求めている自分もいるかも。
「十三人の刺客」しかり、やっぱり仲間集めのシークエンスが一番アガるんだよなー。

この「わかりやすさなんて知ったこっちゃねえ!」っていう作品スタイルのストイックさは惚れ惚れするが、僕には事前知識がなさすぎたのと、会話が難しすぎて、ウィキのあらすじを見ないと全体像が掴めなかったのは残念。
やっぱりわかりやすさって大事なのか。僕の問題なのか。
菜緒都

菜緒都