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イントゥ・ザ・インフェルノ -マグマの世界-のjonajonaのレビュー・感想・評価

3.8
マグマのグラビア的ドキュメンタリー
『フェツジェラルド』『アギーレ』と自然に対する人間の姿を映画化してきた大自然大好き巨匠ヴェルナーヘルツォークがメガホンを取る。完全に趣味。

噴火するマグマの映像がとにかく美しい。正直BSとかでも見れそうだけど、撮り方ひとつでこうも雄大に見えるんだと感心。今のカメラの性能あってこそ、現物に近い美しさを押さえてるんだと思うと、もしかしたら昔から撮りたくて我慢してたのかなとか想像した。
火山調査のお話はもちろんだが、火山と人間の宗教の繋がりや、国家の政治利用(北朝鮮!)について描かれていて、対自然の人間の矮小な存在感が浮き彫りになる。
驚くべきことに北朝鮮が共同調査のために協力してて、北朝鮮内部の合唱団の子供達や駅のプラットホームが映し出されてるのが1番衝撃だったかもしれない笑

○GOOD
・火山マグマのグラビア的美しさと魅力
ほんと綺麗。もうエロティックに見える。
とくにフランス人火山学者のクラフト夫婦が被写体(溶岩)に大変近づいて撮った溶岩流の映像が神秘的。やっぱり人が画面に写っててマグマのスケール感が分かり易いのがいいんかな。彼らは日本の火山撮影の際に火砕流に巻き込まれて死んだらしいんですが、映像を見るとそこまでマグマに近づきたくなる気持ちも少しわかる気がする。

・火山の恐ろしさ、スケールのでかさ
現代で噴火してたらアメリカ全土を飲み込むほどの火山噴火であったりと、改めて紹介される事例で火山のエネルギー感に圧倒された。マグマ流れるのめっちゃ早い…
なんか噴火見てると、自分もいつか死ぬんだな…って凄い根源的な恐怖を感じる

・北朝鮮の内部の映像
わりと尺多め。

・火山周辺の国や村での宗教観の取材
バヌアツで信仰されてる、火山口を通じて村にいずれ物資を届けにきてくれるアメリカ人の神様『ジョンフラム』の話。村長の兄が山登って神様にタバコの火をつけてもらって帰ってきた話。など。

○bad
・マグマの映像を期待してたので、望み通りといったかんじ。もっと宗教観の話を掘り下げて聞けると嬉しかったかも。
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