mh

日本人の勲章のmhのレビュー・感想・評価

日本人の勲章(1955年製作の映画)
5.0
人種差別問題が題材のソーシャルサスペンス。
・よそ者を拒絶する田舎町。
・なんのためにやってきたのかわからないよそ者。
という、西部劇でよくみられた、ふたつのフックで物語を牽引していく。
西部劇とホードボイルドミステリーの味付けも効いている。
この映画自体が、
・WW2の総括。
・近代化によってなされた暴力との決別。
そのあたりもフォローしてあって、邦画でいえば「ペン偽らず 暴力の街(1950)」とも通底している。
住民の胸にずっと違和感があったことがポイントになってる。主人公の来訪がそれに火をつける。
ヒロイン(宿屋の番頭の娘)のキャラ造形も見事だった。敵ボスのいうことを鵜呑みにして迷うことなく行動する。悪弊をそのまま擬人化したかのようなキャラクターにしてあった。だから作中の決着は、冷たいようでいて、テーマ的に理にかなっているのだった。
スペンサー・トレイシーがじじいすぎて、WW2から帰ってきたばかりの復員兵というのがすぐにはわからないのがウィークポイントだけど、当時のハリウッド映画だったら仕方ない。
あと邦題がいいね。思い切って変更してかつ芯を食ってる。ただ、それは日本人にとってなだけの話かも。
バックストーリーもしっかりつくってあった。日本人は第442連隊戦闘団所属なので、主人公はテキサス大隊所属だったと見るべきかな。ウィキペディアによれば、第442連隊戦闘団はその活動期間と規模に比してアメリカ合衆国軍事史上でもっとも多くの勲章を受けた部隊――とのことなので、「勲章」というワードを抜き出した、当時の映画宣伝部はグッジョブといわざるをえない。
面白かった!
mh

mh