CHEBUNBUN

光のCHEBUNBUNのレビュー・感想・評価

(2016年製作の映画)
3.5
【音楽が致命的】
近年、やたらと中上健次もとい『火まつり』を意識しつつ、作家性を滲ませた怪作が日本映画界を騒がす。『WOOD JOB』『ディストラクション・ベイビーズ』『溺れるナイフ』、そして今回大森立嗣の『光』が新たな一本を放った。

原作は三浦しをん。珍しく、原作を先に読み、もろ中上健次やんけ!とツッコミを入れつつ、イヤらしさ全開の小説に惹きこまれた。しかしながら、小説ならではの行間演出多しこの小説をどう映画化するのか?

かなり不安ながらTOHOシネマズららぽーと横浜で観てきた。紅の一点が映画を台無しにした惜しい映画だった。

荒々しい男が、主人公の妻と不倫に至る過程をバッサリ切る大胆な演出。彼と工場とのコントラスト、主人公が過去に、島に引きずり戻され狂気性が暴走するあたりをモンタージュ捌き魅せる様。大森立嗣の超絶技巧に「おっこれは傑作かもしれん。マジで『火まつり』だ!」とテンションが上がる。

し、しかし、大森立嗣の超絶技巧が暴走し、途中合間合間に挿入されるサイケデリックな音楽が、スピード感ある物語をいちいち止めて煩わしい。正直、作品のトーンは昭和犯罪もの。それも『火まつり』含め、『復讐するは我にあり』『鬼畜』あたりのなので、このサイケデリックなサウンドは水と油な関係だ。

ってことで、正直仕事終わりに観るなら『旅歌ダイアリー2』を観れば良かったと後悔残る作品でした。
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