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スティル・ナハト 寸劇のくりふのレビュー・感想・評価

スティル・ナハト 寸劇(1988年製作の映画)
3.0
【スプーンで喰え砂鉄丼】

クエイ兄弟の短編集が、アマプラ見放題にも入荷したのね。

ということでより、気軽に見られるようになったし、未投稿の作品も上げていこうかなと。

本作は、計4本作られることになる、“静かな夜“を指すStille Nachtシリーズの一作目。

後に撮る初長編『ベンヤメンタ学院』の原作者でもある、ローベルト・ヴァルザーの影響で作ったものらしいが、今のところ、私はこの作家に興味が湧かない。『ベンヤメンタ学院』はいつか再見したいので、その後、あの映画と比べてみたいなあ、とは思う。

寸劇という題が響かせる通り、クエイ作品の中では、一発芸のように愉しめばいいと思う。

私が素直に読み取ったのは、一種の児童虐待。或いは行き過ぎたしつけ。

施設に隔離され、好き嫌いは無くせ!この場で食え!と強制されている子供…或いは、心がコドモのママのオトナ。でも食欲はなく、カビが外まで増殖するように見える、目前の食材を何となく眺めることしか、する気がない。…ま、そんな映画かなーと。

それくらい気楽に受け取れば、子供が、動き回る食材を妄想する楽しさにシンクロできる。

クエイ兄弟としては、ゼロからモノを動かすことに飽きも出てきて、動きのアウトソースやってみっかってコトでメインに砂鉄を据えたんじゃ?…なんて風に妄想しても、楽しい。

でも、すべてが砂鉄とも言えないような?ちゃんとコマ撮りしているところもあるよね。

スプーン団がワッと現れ、喰え!て叫びが聞こえそうになるのは、笑うトコだと思います。

…『死霊のえじき』の冒頭悪夢シーンにも見えるんだが!

<2023.4.20記>
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