Clara

食の真実のClaraのレビュー・感想・評価

食の真実(2016年製作の映画)
3.7
食の問題を取り上げたドキュメンタリー。
先進国はもとより、ある程度経済・文化発展している国では共通するであろう「飽食の時代」。ここに人の弱さや悪癖を利用した企業戦略が加わり、私達は様々な情報に踊らされながら様々なものを口にしている。「調査・思考をせずに右へならえ」とりわけ日本人に強く見られる部分だと思うから、手軽な教材だと思って見ればいいのかなと。当たり前の話だとしても、私は面白いと思った。意識の端に追いやられていたことに気付かされるとか、人によっては「あぁ、そっか」と思うこともあるだろう。ただ「当たり前じゃん」で終わらせる人には退屈なのかもしれない。
また、説得力を求める人にも向かないかもしれない。専門家が話の中で、TV番組では「賛成VS反対の構図により視聴者は混乱する」と言っている。監督自身もそれに賛同+本人が100%菜食主義のため、反対意見を盛り込まずにシンプルに仕上げたのではないかと思う。さらに自ら疑問を抱き調べることを説いているので、説得力を求めること自体が他力本願であり、不足を補うために調べるという行動をおこし、それを第一歩として最終的に自分なりの決断につなげてほしいのではないかと。とにかく、もう一歩踏み込みたいと思える人なら、楽しめるそう。

気をつけなければならないことはいくつかあると思う。
1つは、私達はアメリカ人じゃないということ。土地・文化・食は密接な関係があるから、日本伝統の食事に沿うことが第一歩だろう。
2つ目は、勝手な解釈をしないように常に大元の問題を意識すること。例えば、オメガ6を減らすために3を代用するのはいいが、体にいいことを理由にたっぷり使っていれば意味がない!(←我が母に捧げるw)
3つ目は、極端な思想にならないということ。体と相談しながら、心地がいいように取り入れることでこそ意味があるんじゃないかと思う。そして頭を使い、疑問を持つ・調査・実践を通して思考する。そのうえで心底ビーガンがいいと思ってやるならやればいいんだけど。

また、話が進むにつれ菜食主義ゴリ推し、アンチ畜産業色が強くなっていて、正直くどいし客観性に欠けていると感じずにはいられない。確かに人は動物をカテゴリ分けして残虐に殺して食べているけれど、それを生業にしている人々がいることも考えないといけない。そもそも、それぞれの土地で食べられていたものには理由がある。しかし、発展という名のもとに贅沢するようになった私達が、それをグチャグチャにして、あらゆる場所で食べられるようにしたから供給が増える一方なのだ。必要最低限だったものが過多になったのが問題なのであって、それそのものの存在が悪なわけではない。
ただ、環境問題などへの繋がりをしっかり示したのはいいと思う。自分の生活・選択が、遠く離れた場所や地球そのものに影響を及ぼしている、関係しているという忘れられがちなことを思いださせてくれると思うから。
Clara

Clara