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不能犯のプライのレビュー・感想・評価

不能犯(2018年製作の映画)
3.3
思い込みやマインド・コントロールを使って実証不可能な殺人を繰り返す男と女性刑事の対決を描いたサスペンス・スリラー。

思い込みで人間関係は死を迎える。思い込んだ側も思い込まれた側も死が迫る。本作では思い込みから生まれた殺意で実際に人を死なせることで、それらを説いて思い込みの恐ろしさを伝えている。そして、思い込みに立ち向かうアンサーが本作の結びとなっているわけだが、かなり性善説すぎて説得力に欠ける。思い込みに打ち勝つには、真実を追求することが必要であり、事実確認を検証して思い込みを解消していく他ないと考えた次第であった。

役者陣については、不能犯を演じた松坂桃李さんの独壇場。スラリとした立ち姿。無駄のない挙動。片目を覆った髪の毛。黒いスーツを着用し、雰囲気と動き方からダークな無機質さが滲み出て恐怖を生んでいる。そこから放つ静かな目力と不敵な笑みが更に恐怖をそそる。特に笑った時は、アメリカで2022年に公開された『スマイル』に登場しても違和感なさそう(笑)

松坂桃李さんがマインド・コントロールする際に画面を埋め尽くすCGが良い意味で気持ち悪い。マインド・コントロールを喰らった者と同等レベルで不快感を植え付けられ、登場人物の感情とシンクロする。

演出がイマイチ。思い込みによって人が自ら死を招くシーンが多く、どうしても被害者役の演技に頼り過ぎとなる。そのため、余りにも演技の上手い下手が分かれる。また、松坂桃李さんの雰囲気はダークで良い味を出しているが、やってることは小規模な殺害なので、気合の入った劇伴がミスマッチ。もう少し抑えた音楽の方が合っていた。


⭐評価
脚本・ストーリー:⭐⭐⭐
演出・映像   :⭐⭐⭐
登場人物・演技 :⭐⭐⭐⭐
設定・世界観  :⭐⭐⭐
星の総数    :計13個
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