unubore

光のunuboreのレビュー・感想・評価

(2017年製作の映画)
4.2
映画の音声ガイドの仕事をしている女性と弱視のカメラマンの男性がある映画のモニタ会での出会いをきっかけにお互い葛藤を抱きながら心を通わせていく話

降り注ぐ夕陽の光や部屋の中で七色に光輝くプリズムなどタイトル通り「光」が象徴的に使われていて印象的でしたが、主役の美佐子が担当しているモニター調査での視覚障碍者の方々の音声ガイドへの意見がセリフ的な嘘偽りが全く感じず凄くリアルで心に突き刺さりました。
視力を失われた方に目の前の世界をどの様に「言葉」にして伝えるか、伝わるのか。 必死に模索して言葉を探す美佐子の葛藤にも心打たれたし、もし自分ならどうやって言葉で表現出来るのか深く考えて観ていました
顔のアップの表情だけの映像が多かったり、後半の視力が徐々に無くなりカメラマンとして絶望の中で生きる雅哉のシーンもセリフが無い場面が多くて「あなたならここでどの様な言葉を当てて音声ガイドにしますか?」と監督に投げ掛けられてる様にも思えた
そしてラストの何度も検討を重ねて出来上がった劇中劇の完成披露試写会。もう見事に素晴らしくて涙こらえきれなかったです。あのシーンは目を閉じながら是非もう一度鑑賞してみたい
上映終了後、自分も心の中でカンヌと同じ様にスタンディングオベーションで拍手を送っていました!
当たり前のように目で好きな映画を観れる今の日常を大事にしていきたい。

「あん」に引き続き 河瀬監督&永瀬正敏コンビは相性抜群だけどやっぱり感動するとこは樹木希林さんなんだよねー
それと水崎綾女さんもエキゾチックな美しさと自然な表情が河瀬作品にピッタリで凄く良くて、たくさんあるアップの映像もどれも綺麗で存在感ありました。彼女も本作で女優として光を浴びた作品になったと思う。
unubore

unubore