このレビューはネタバレを含みます
原作未読。
演出とか全体的なトーンからはこの作品の作り手が男性だということが伝わってくるけど、ストーリーの流れとか展開自体はなんていうかすごく女性的。同じ吉高由里子主演作でいうと「蛇にピアス」もそんな感じだった。
比べてみてどうだという話はナンセンスだけど、蛇にピアスの吉高由里子は神懸かっていた。過去に無かった妊婦役も一児の母役も違和感が強すぎて、それが昇華されてはまり役や新たな面を発揮・開
拓には至らなかった。女優自身が持つ個性や纏うオーラを等身大で役にぶつけて視聴者に感動や共感を与えるタイプだなぁと思って観てた。
松ケンは、思慮深さや繊細な人間が醸し出す空気感をとても上手に表現していたと思う。彼にしか出せないのかもしれないが、話し方のトーンやスピードに乗せた「絶望の上に成り立つ達観視」は、思わず惹き込まれるものがあった。
松坂桃李の狂気に取り込まれていく演技は全体的に過剰ではあったけれど、役柄の持つキャラクター性質上、仕方ないのかな…物憂げな表情やダダ漏れな優男感は相変わらず秀逸なので、ムカデを執拗に踏み潰したり木村多江と真実を巡って対峙するシーンとの対比が見所だったのかな。
佐津川愛美は、体当たり的な役が増えてきて個人的に嬉しい。メンヘラ感出すのはやっぱり上手いなー。笑 どうしようもない闇深な風俗嬢役とか、男に溺れて横領とかに手を染めて堕ちていく地味系ＯＬとか、演じて欲しい！笑
話のまとめ方を綺麗にしたい感はびしびしと伝わってくるものの、後半にかけての間延び感が残念だった。
これは完全にダメ出しなんだけど、劇中の登場人物の俳優的知名度がそのまま物語での重要度と比例してたのがガッカリ。
木村多江は核心に関わるキーパーソンなんだろうなってオーラ出過ぎてたし、
清野菜名はレイプシーン予想出来るくらい脱ぎ役多いし、それを監禁したヤクザな婚約者なんてまともに顔も映らないからすぐ死ぬの予想出来たし…
火サス的な配役になってた気がする。
他にもツッコミ所はたくさんあるけど、主役陣の熱演でこの点数！
