MasaichiYaguchi

アウトレイジ 最終章のMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

アウトレイジ 最終章(2017年製作の映画)
3.7
北野武さんが監督・脚本・編集、そして主演して裏社会の男たちの抗争を描いたこのシリーズも本作で完結。
シリーズの有終の美を飾るべく、この作品では主人公の大友をはじめとして花菱会等の暴力団組織の面々も、チラシやポスターのキャッチコピーにあるように“全員暴走”して弾けまくる。
前作「アウトレイジ ビヨンド」で描かれた山王会と花菱会という東西の二大暴力団の大抗争後、その抗争でキーマンとして暗躍した大友は、日韓を牛耳るフィクサー張会長の庇護の下、韓国の済州島に身を潜めている。
だが、韓国に取引にやって来ていた花菱会幹部の花田がトラブルの末、張会長の手下を殺したことから、張グループと花菱会が一触即発の状態になっていく。
このことに激怒した大友は過去を含めて“落し前”をつける為に行動を起こし、そして花菱会においては、このトラブルに乗じて内部抗争が勃発する。
済州島で起きた炎はやがて日本に飛び火し、燎原の炎の如く彼らを包んでいく。
主演のビートたけしさんをはじめとした前作の主要キャスト、西田敏行さん、塩見三省さん、白竜さん、名高達男さん、光石研さん、松重豊さんが続投し、それに大森南朋さん、大杉漣さん、ピエール瀧さん、岸部一徳さん、池内博之さんが新たに加わって、目力、顔力、そして勿論演技で、テンション高く火花を散らしていく。
このシリーズを観ていて思うのは、暴対法でシノギがし辛くなっている暴力団社会において、大友のような義理を重んじるような古いタイプのヤクザはどんどん減っていって、今回、大杉漣さんが演じた野村のような経済ヤクザが幅を利かせているような気がする。
だから、深作欣二監督の「仁義なき戦い」をはじめとした東映ヤクザシリーズを観て育ったような我々世代は、このシリーズに新しさと同時に懐かしさを覚えてしまう。
北野武さんは先日、恋愛小説を発表して話題になっているが、映画の方もバイオレンス物は本作で一先ず終わりにして恋愛映画に挑戦するとのことなので、今後どのようなエンターテイメントで我々を楽しませてくれるのか期待したい。