亘さん

アウトレイジ 最終章の亘さんのレビュー・感想・評価

アウトレイジ 最終章(2017年製作の映画)
4.2
前作で山王会と花菱の抗争を狙った刑事の片岡を射殺した大友。この後どうすんだよ!って待ちに待った最終章。乾いたバイオレンス描写から一転して、ソナチネのような済州島ののどかな海の景色から始まる今作は、たけし映画のいい所をギュっと詰め込んだような作品になっていた。

関東の山王会はいまや花菱の傘下にまで規模を縮小していた。大友は片岡を射殺した為、韓国のフィクサーである張会長の下で済州島の歓楽街を裏で仕切っている。ホステスをホテルに派遣した先の花菱の花田から女のクレームを受けホテルに向かうと、女達は花田に理不尽な暴力を受け金を払わないという。金を払う約束をさせる大友だったが、翌日金を受け取りに行った舎弟が花田に殺されるところから、韓国のフィクサーVS花菱という抗争に発展する。

どうやら自分は「この世界でしか生きられない男」の話が大好きらしい。アウトレイジも任侠の世界でしか生きられないのに、その中でもがきながら自分の信念を貫こうとする大友が最高にかっこいい。覚せい剤の売買で多額の金をもうける花田(ピエール瀧)とは真逆の人間像で、親や兄弟分に仁義をきったならば、絶対に裏切ることはない。だからいいように使われて逆に裏切られてしまうのだが、今回の大友はまるで死神のような存在でヒタヒタと確実に人を殺していく。台詞はあまりないものの、まるでジョン・ウィックのような感じで大友の名前に皆恐れを感じているのも面白い。

済州島ののんびりした風景で舎弟の市川(大森南朋)と釣りをするシーンはユーモラスでソナチネのような雰囲気はある。その後のタイトルバックの文字が赤くなってるのを見て「これは今回本気で死ぬ」という予感も感じさせた。花菱の若頭・西野(西田敏行)のアドリブがすごく面白くて「迷惑もハローワークもあるかい!」「増えとるやないかい!」は名台詞だと思う。
これだけの役者が集まったアウトレイジがもう見られないのはちょっと残念でもある。
亘さん

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