幕のリア

WHO KiLLED IDOL? SiS消滅の詩の幕のリアのレビュー・感想・評価

WHO KiLLED IDOL? SiS消滅の詩(2017年製作の映画)
4.2
@テアトル新宿

仕事とは?懸けるべきものとは?
普遍的な何かを自ら問いかけるきっかけになるドキュメント。

ではあるのだが、音楽映画としても素晴らしい作品。
もはや殆どの音楽作品がパッチワークでしかない昨今、リアルタイムの音楽としてはアイドルものが一番面白いと感じるし、その刹那的な魅力は消費されるスピードも加速度的だ。
一年を振り返り最も熱くなった一曲を思い返した時に、ここ何年も、アイドルものが真っ先に頭に浮かぶ。そもそもそれこそがポップスというものなんだが。
日本映画の最大の弱点はオリジナルサウンドトラックのショボさにあると常々感じるのだが、B級だろうがなんだろうがこの劇中で聴ける唄は紛い物でなく紛れもなく彼女達のオリジナルであり、エンドロールで聴ける幻の生唄には感動を禁じ得ない。
とんでもない顛末の途中のリアルがそこにはあり、結末とここからの物語の通過点だけではない場面の抽出が生音源をディストーションとして増幅させていたと感じた。

わずか半年余で成長していくSISの面々、インターンとして傍観者としてナレーターとしてどのメンバーよりも顔面力で上回る山下百恵嬢のコントラストも、物語に深みを加えていた。
てっきりSODにおける市川まさみになるオチなんでしょ?と穿った見方をしていたのだが、そのオチをAV界に巣食う男達の期待も裏切ったのかどうかは知らないが、事実はそう簡単には運ばなかったし、そんなわかり良い結末は用意されておらず、その期待外れにも図らずもカタルシスを得た。

上映後に監督とパリピ嬢の実に完成度の高いトークショーに全く面白味が感じられなかったのも期待外れのカタルシスが加わったように思う。
僅か半年前くらいのドキュメントがもはや風化してしまうかのような時間の経過を感じさせられたから。

タイトルが実に秀逸。
誰が殺した?
誰が生かされた?
誰が生き残った?
誰がアレしてナニした?

仕込みやらヤラセやらどうでもいい。
こんなにもアングル満載のイリミネーションマッチはそうそう見れない。

ちょいと高めの1000円パンフは購入し、着れなくもない買ってあげてもいいレベルのTシャツとサイン会には背を向けて、映画好きアイドル好きの友人との反省会は実に楽しい時間だった。
一人で見る映画も良いが、鑑賞直後にあーでもこーでもと酒を呑みながら話すのはなんと楽しいことか。

DVD化されたら、あーでもこーでも突っ込みながら、またワイワイ見たい作品。
この世界の住人でない方にこそ、見て欲しい、何を感じたか語り合いたい。

以上、周縁情報の復習やパンフ読む前にレビューアップ。

2017劇場鑑賞19本目。

深夜パンフ読了。読み応え十分。
幕のリア

幕のリア