くじら

散歩する侵略者のくじらのレビュー・感想・評価

散歩する侵略者(2017年製作の映画)
3.8
やっぱり、ちゃんと今やることをやって、破壊したりしなかったり、生きたり死んだりしていくんだということを学ばせてくれた。大好き。

「概念集め」の白々しさを、カラッとした生の映し方と言語センスで丸め込む手腕に惚れすぎて10年代も黒沢清は最高ってわけだ。

宇宙人たちの行為は狂気の施しではなく、「散歩」=〈無目的的な形容〉のついた攻撃だと自認する客体。びっくりするほどアングルの明暗がはっきりしている序盤。
でも中盤以降から「なぜ悪い側に」「誰が味方か」がどんどんミックスされていく。そこからどんどん気持ちよくてヘロヘロになっていく。
サクライさんが宇宙人を糾弾する演説以降なんて、銃をぶっ放して必死に相手を手当てしたり、頑張って木を育てたり爆破したりする『カリスマ』の役所広司と被ってきた。これだよ。

ただ、侵略をやめた理由はやっぱりウーンだし、本当にそう思う?って気持ち。原作を知らないからか?愛が嫌いなわけじゃない。カメラワークも今まで見てきた黒沢作品よりはバチッとこなかった。それでも何度も見たいLOVE映画です。多幸感。

笹野チームと東出教会、50000回見せてくれ。
くじら

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