Hoshiduru

散歩する侵略者のHoshiduruのレビュー・感想・評価

散歩する侵略者(2017年製作の映画)
3.6
概念の獲得と喪失が同時にその場で起こるのがとても良かった。概念を喪失するってどういう感覚なのかな、喪失した人たちの会話をもっと見たかった。あと、喪失したことによって、逆説的にそれまで確実に存在し続けていたことの証明になるのも、切ないけど凄く良かったなあ。

脚本もお芝居も、演劇のまま来てしまった感があって、これ演劇のままの方が面白かったんだろうな、と思ってしまったのはちょっと残念だけど、演劇的な熱がどんどん帯びていって、段々と観客からかけ離れていったり、かけ離れて行った先に不意に心に触れてしまうあの瞬間だったりの体験ができたのは幸せだったなあ。演劇の再現としては良かった。

宇宙人に影響され近づいていく地球人、は分かるけど地球人に影響され近づいていく宇宙人、の存在はすごく不思議だった。概念理解のために奪うって言ってるけど、理解というより「了解」に近そうだったな。「へぇそういうものがあるのか」で終わらないのが不思議。それは元々彼の中に生まれていたものだった、ってするとすごく感動的なんだけれど。設定面を気にし始めたらきっとダメだね…。(でもそれによって受け止め方がだいぶ違う)
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