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散歩する侵略者の8bitのレビュー・感想・評価

散歩する侵略者(2017年製作の映画)
3.6
精巧なだまし絵のような。
知的な言葉遊びのような。
生きる上での〝概念〟というものを考える哲学のような。
とても面白い(interesting)な映画でした。

〝侵略〟といってもバトルシップで攻めてきたり、怪獣を送り込んで街を破壊するわけではない。
日常に溶け込んで、じわじわと侵食してゆく不気味さ。
人類のあらゆる〝概念〟を剥奪し、自身に取り込んでゆくという想像を絶する侵略方法。センスの塊でしょ。
宇宙人が地球の言語を学んでゆく上で示される〝言葉〟という概念の不可解さを改めて考えさせられた。
ひとつの言葉でも受け取り方や考え方で意味合いが異なってくる様子をコントみたいに描く演出がどことなくアンジャッシュみたいだなあと思っていたら、児嶋が出てきた笑。

ウルトラセブンっぽさのある侵略宇宙人SFサスペンスと、一組の夫婦の愛の物語がいびつに絡んでそれがしっかりと映画として着地しているのが本当に凄い。
宇宙人の設定やラストの解釈など、観終わったあといろいろ想像したり考えたりできる映画。大好き。

松田龍平くんの宇宙人はハマり役過ぎて反則だわ笑。
推し女優のひとり、恒松祐里さんのアクティブさも凄かった。
有名俳優が一瞬出ては消えてゆく豪華キャストの中では最も無名にもかかわらず、一番大きな爪痕を残していたと思う。
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