1970年に実際にあった事件をベースとしたサスペンススリラー。トルコで麻薬の運び屋をしたことで逮捕され、30年の懲役刑を受けたアメリカ人の主人公。その彼の脱獄を描いた物語。
今は亡きブラッド・デイヴィスの演技に圧倒された2時間でした。冒頭の普通の青年である姿から、精神が崩壊し廃人寸前にまで堕ちる姿の落差が凄まじい。この映画の大きな魅力の1つでしょう。
いくら主人公の自業自得とは言え、実質死ぬまで刑務所入り、しかもひたすら暴力の連続。
理不尽な扱いが横行するトルコの刑務所の実態に口が開きっぱなしでした。
物語が進めば進むほど、深い闇に取り込まれそうになるほど暗い映画。一縷の光すらも見えないような絶望感に支配されます。終盤の精神病院なんかまさにこの世の終わりのような有り様。
嫌な気分ばかりにさせられる映画でありながらも、緊迫感のあるシーンばかりでアラン・パーカー監督の演出力の巧さが際立つ作品。後に「バーディ」や「エンゼル・ハート」など一癖も二癖もある映画を生み出す力は、この作品で既に伺えます。
脚色もそれなりにあるみたいですが、これが実話ベースとは本当に恐ろしい。外国では余計なことをしてはいけないと心から思わされる作品です。笑
