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ぼくの名前はズッキーニのプルのレビュー・感想・評価

ぼくの名前はズッキーニ(2016年製作の映画)
4.3
はじめに断っておくと、この映画、全く子供向きじゃない。というか、察する部分が冒頭から多すぎて分からない気がする。

目にはいるbeerの文字と大量の缶からアル中であることを知らせ、ビールをすする音と籠ったTVの音を聞き、破りとられた父親の写真を見る。この当たりでもう不穏な空気しかない。そこから、ズッキーニの視線を見て事を察する。完全に大人向け。
しかし逆に言えば、いわゆる孤児とかそういう問題で、普段なら大人に焦点が当たるところを子供に当てて、それ故にアニメーションという体裁をとったとするなら最適。アニメならではのテンポの良さを保ちつつ、物語全体でのシモンたちの心の流れがよく見える。ズッキーニだけの物語ならハッピーエンドだけど、彼にフォンテーヌ園の子供達を投影してるからこそ、ただのハッピーエンドにはなれない。寂しさがつきまとう。最初は悪ガキにしか見えないシモンの心が垣間見える瞬間がたまらない。
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