通り過ぎていくもの=旅行者、テレビ番組、船
残り続けるもの=絵葉書、記念写真、留守電、山
「運動の優雅さはフレーミングが正しくなければ生まれない」という監督自身の言葉に感銘を受けた。

• #tjr2016洋

“ある家の一室で、椅子と机、そしてアーティストの身体が空間を歩き回り、時には座って手紙を書き、時には立って窓辺で手紙を読む。時間帯も光も様々で、こうした変化が何度も繰り返される。その瞬間、イメージが突き抜け、その存在を証明し、観る者の心を捉える、貴重な瞬間が訪れる。書かれ、読まれる手紙のメッセージは、もちろん誰にも分からないまま、手紙は引き出しにしまい込まれ、消え去る。「フレームの中にありながら消え去ること」は「自画像の正反対」だと映画監督は書き、さらにこう付け加える。「それがまさに自画像という場合を除いては」。一つの仮説を立ててみよう。ルソーの映画におけるあらゆるものは、フレームの中に姿を現すために、消え去る危険を冒さなければならない。ならば、作品全体は自画像ではないだろうか？ あるいは、その逆かもしれない。”

Fabrice Lauterjung（映画作家）