横須賀アット

夜は短し歩けよ乙女の横須賀アットのレビュー・感想・評価

夜は短し歩けよ乙女(2017年製作の映画)
4.5
累計130万部を越える森崎登美彦さんの著書「夜は短し歩けよ乙女」を唯一無二の演出で世界観を表現する監督、湯浅政明が「四畳半神話大系」からの再集結!
それだけで観に行かないと言う選択肢は私には無い!

黒髪の乙女に思いを寄せる先輩がその思いを告げるため今宵、京都を舞台に奔走する。と、簡単に言ってしまうとあれだが、語りたいことを短く納められないのがこの作品である。

どの登場人物をとっても一癖二癖もある個性を持っていて愛嬌満点。そんなキャラが終始アッチにコッチに動き回るので観ていて楽しい。
序盤、ヒロインである黒髪の乙女が唯一掴み所が無く個性が薄く見えて勝ちではあったが、その掴み所が無い所こそが彼女の良さであり、この一夜に先輩が走り回る切っ掛けだったのだと気付かされる。

そして、何よりも湯浅監督のアニメ表現がこの作品をより高めている。
春夏秋冬を一夜で見せる作品構成も上手く、四畳半神話体系大系でパラレル世界を提示してるので何でもあり!が出来るのである。
まさに夜は短し……なのだと。

アニメの出来ることが実写より簡単だと言う人がたまに見かける。

いや、本当にそうだろうか?

頭の中にあるもやっとしたビジョンを絵にし、それが全ての人が共有できる物にするのは途方もない努力であると思う。

ラストの暴風雨や脳内会議は特にそうだ。
先輩や乙女の葛藤や恐怖、欲望などの心理的表現をアニメーションで見せるのである。
これぞ、まなしくアニメ作品の醍醐味である。