石

メアリと魔女の花の石のネタバレレビュー・内容・結末

メアリと魔女の花(2017年製作の映画)
2.3

このレビューはネタバレを含みます

 味噌も糞もあってこその均衡、女児の性徴、兵器への拘り。ピーキーな題材を持ってきては、狙ってか否か爆発的にヒットさせていた宮崎駿氏。ただそこには明確に表現したいイメージがあったのだと思います。なによりしっかり物語に一段落つけていたから成立していたのかなと。『メアリと魔女の花』からはその明確なイメージが乏しいのと、実は物語がまるで動いていないので、もうジブリ云々の前に話作りからしてどうしたのかしら?と思ってしまうところがありました。

 上がって下がってを繰り返す様式はまさしくジブリなのですが、本当に同じ場所を行ったり来たりするだけな上、ひたすら魔法の本「呪文の神髄」と魔法の実「夜間飛行」を奪い奪われを繰り返すだけの話ではちょっと味気ないです。「魔法なんてもういらない」などと言わせるならせめて容姿を含めた素の自分で事を為し遂げる展開を盛り込めば一応成長譚として綺麗に纏まると思うのですが、わりと最初から最後まで魔法に十二分に頼ったまま終わるんですね。あの、小賢しいだけっていうね。決着についても「全ての魔法を解く魔法」って……そんなの何でも有りになってしまうでしょ。じゃあそれで一見落着になったかというとそうでもなくて、デイとマンブルチュークは野望を"また"崩されただけって言う状態なんです。こいつらまたやるでしょ、反省する材料が無いんだから。

 以上のことを踏まえてね、この物語何がどうなった話なんですかね。少年少女のひと夏の冒険ってことで片付けるならそれでいいですけど、それじゃあやっぱり「ジブリっぽいけどジブリじゃない何か」以上の感想は抱けないかなって。
石