ぜにげば

劇場版ポケットモンスター キミにきめた!のぜにげばのネタバレレビュー・内容・結末

2.4

このレビューはネタバレを含みます

そう言えばと思って鑑賞済みのサン&ムーンの話数と照らし合わせたら公開時点の話は見終えてたので思い出したかのように鑑賞。

序盤に関してはサトシが卒業するという情報がある上での鑑賞もあってかめちゃくちゃエモかった。
それに、ポケモンセンターにルカリオがいて急に第四世代のポケモンがいるもんだから違和感を抱く。
そこからのストーリーが分岐していく感じもすごくワクワクした。
ルカリオ?エンテイ?ポッチャマ?と。
しかもエンテイは結晶塔をほぼそのまま再現してて、背後に飛んできた時の「エンテイでっか…」という感覚はもはや懐かしかった。

(余談だけど、SVをプレイした時に「バンバドロでっか…」ってみんななるよね。)

それと、明らかにダイパ世代を意識しているなと感じた。
出てくるポケモンもそうだし、旅の仲間は色んなキャラの要素を合わせてはいるけど、含有率としてはタケシとヒカリが多いかなと思った。

レントラーが死ぬシーンとバタフリーとの別れのシーンが感動的だったかな。
レントラーはどのシーンのリフレインなんだろう。
忠犬っぷりはシトロンのレントラーっぽいけど、俺がまだ見てない作品にそれっぽいシーンが描かれるのか。

ただ全体としては駄作だなという感想にはなってしまう。
様々なエピソードのツギハギで、手持ちを進化させるシーンを縫い目としてるのがあまり上手くないと感じた。
ママとの電話の時に子供達の集中を切らさないためにピカチュウがフシギソウに顔芸を披露したりとか、そういう工夫がポケモンには昔からあって、それを織り交ぜながら縫い合わせなきゃ行けないのは難しいとは思うけど、だったら変にオリジナルにしなくても、3時間くらいの長さになってもいいから“めちゃくちゃ出来のいい初代総集編”にした方が作品としては良かったと思う。
マーシャドーの配布するための新ポケモンを出したいから出しました感とかも凄まじい。
従来なら新しいストーリーだから問題ないけど、今作は既存のストーリーにねじ込まれてる感じがして気持ちが悪い。

サトシが現実世界で暮らしてるかのような描写も野暮。
ポケットモンスターユアストーリーみたいになってるって。勘弁してくれ。うるさいわ。
まあこういう描写があるってことは、ずっとポケモンが好きな人は除け者で、ポケモンを子供の頃やってたけど中学あたりで卒業した大人“のみ”を対象としてるんだろうな。
それは悲しいよ。
老若男女から唯一排除されたのが一番ポケモンに愛を注いでた層だなんて。
ただまあ言ってしまえば、ポケモンに愛を注ぎ続ける層はあんまりそういうところは気にせずに感動できそうだから問題ないのかもしれない。

ピカチュウが喋るのもすごく残念。
ピカチュウが「ずっと一緒いたいから」って言って、サトシが「ピカチュウ…」ってなるんだけど、俺はてっきりピカチュウとサトシは通じあってるもんだと思ってたけど、日本語喋ったピカチュウに対して「そうだったのか…」と言わんばかりのサトシ。やめてよ。
サトシには元からずっとそれくらい通じ合って聞こえてて、あの瞬間だけ観客にもそう聞こえたのかもしれないけど、何れにしろ失敗だと思う。

クロスの描き方も酷かったな。
クズならクズと振り切ってもらわないと。
中途半端にシンジっぽいダイスケじゃん。
好きになれないわ。

ラストシーンも中途半端にミュウツーの逆襲っぽくしてるけど結局何が起きてるの?笑
で、勇者って結局何?
ちゃんと描いて欲しい…。

最後に、今作にはひとつ大問題があって、ポケモンってのはそもそもが凄く歪な作品で、ポケモンを動物に置き換えると色々とマズいことが起きたりする。
モンスターボールという超科学によって、野生のポケモンを痛めつけ弱らせ、ゲットしたら洗脳して懐いている。
どうしたって齟齬が生まれる。
ゲームの方が納得できる描写、アニメの方が納得出来る描写それぞれがあるし、技術や時代の進歩によって、それこそ最新作svでは様々なシステムが一新された。
そういう部分は置いとこう。
ポケモンを初めて見たちゃんとした大人が「おかしいだろ!」って思うようなことは沢山あるけれど、それは各々が納得したり解釈を上手いことして置いておくしかない。
しかし、序盤の縄でピカチュウを引きずる場面やポッポ(オニスズメ)に石を投げるシーンは無くせたんじゃないだろうか?
少なくとも石を投げるシーンは無くすべきだったと思う。
当時としてはそれで良くても、現代でリメイクします!ってなったらアップデートしなきゃダメじゃん。
例えばだけど、

縄を解いた瞬間にピカチュウが逃げ出す
→サトシはトレーナーとして(現実で言うところの飼い主が散歩中に手網を離して逃げてしまった状況)まずいと思い追いかける
→オニスズメの群れに追われるピカチュウが逃げてきて一緒に逃げる

みたいな展開にすれば良くないか?と思う。
現実の10歳がしそうなことなんでも描いていいわけじゃないし、世の親御さんが「サトシは鳥さんに石なんか投げないでしょ?だから投げちゃダメよ」って言えるようにしないとダメじゃん。

“水の都の護神”レベルの作品また作ってくれ…。

エンディングは良かったな。
高画質の当時の絵柄の仲間たち。曲もいいね。やっぱダイパ意識してるでしょ。
ただ最後に虹色の羽根が「次の勇者は君だよ」と言わんばかりにスクリーンいっぱいになったのに、そのまま宇宙に切り替わって地球に落ちるシーンは笑ってしまった。
大気圏で燃え尽きちゃうよ…笑

初代のシーンだけを抽出すれば面白いけど、色々とめちゃくちゃな作品でした。
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