『101匹わんちゃん』のヴィラン、クルエラ・ド・ヴィルの若き日を描いたオリジナルストーリーをエマ・ストーン主演で実写化。
ディズニーの実写化はクオリティ高いものが多いけどその中でも『クルエラ』は一番好きかもしれない。
『クルエラ』は単なる悪役のバックストーリーを描くにとどまらずエマ・ストーンの存在によってキャラクターの魅力が何倍にもなるくらい丁寧に掘り下げられていた。
エマ・ストーンの演技力は圧巻の一言で、ファションデザイナーを夢見る「エステラ」から復讐に取り憑かれた「クルエラ」に変貌するまでを見事に演じきっていました。またエマ・ストーンの容姿もクルエラという役柄にハマっており、奇抜なファッションと相まってクルエラというキャラクターのカリスマ性を増幅させるのに一役買っている。吹き替え版も悪くなかったですが個人的にはエマ・ストーンの魅力や演技を堪能するためにも字幕版での視聴をおすすめしたい。
この『クルエラ』におけるヴィランはエステラが憧れるデザイナーのバロネスである。『美女と野獣』にてポット夫人を演じたエマ・トンプソンが演じているのだがポット夫人とバロネスでは天使と悪魔くらい違うのでエマ・トンプソンの演技の幅には驚かされる。クルエラが結構容赦ない行動に出ても胸が痛まないのはバロネスがヴィランとして圧倒的な存在感を放っていたからでしょう。クルエラというヴィランが誕生する背景にはバロネスという、より邪悪なヴィランの存在があった、そこに説得力をもたせてくれたのがバロネスを演じたエマ・トンプソンです。本作ではエマ・ストーンと同じくらいエマ・トンプソンの存在が光っていました。
またエステラ、ジャスパー、ホーレス3人の関係性も作品における魅力の一つでシリアスなドロンジョ様、ボヤッキー、トンズラーに見えなくもない。
残念な点はCGのクオリティですかね。
『美女と野獣』では全体を通して馴染んでいたCGですが『クルエラ』では馴染んでるところと浮いてるところの差が激しかった気がします。CG主体の『美女と野獣』ほどそこに予算を割けなかったんですかね。『クルエラ』は実写主体の作品なのであまり大きな問題に感じませんでした。
『クルエラ』は悪VS悪という構図でありながらバロネスを邪悪そのものとして描くことによって勧善懲悪のシナリオを実現しているのは見事。エマ・ストーンの魅力が詰まった新たなダークヒーローの誕生です。
続編も決まってるらしいので楽しみに待ちたいと思います。