daiyuuki

アイ, トーニャ 史上最大のスキャンダルのdaiyuukiのレビュー・感想・評価

4.3
貧しい家庭に生まれたトーニャ・ハーディング(マーゴット・ロビー)は、幼少の頃から厳しく育てられた。
幼くしてスケートを始めた彼女は、天賦の才と努力により、1991年に女子選手として伊藤みどりに続き史上2人目となるトリプルアクセルに成功。1992年のアルベールビルオリンピック代表選手に選出された。
1994年1月6日、リレハンメルオリンピック選考会となる全米選手権を前に、練習を終えたナンシー・ケリガンが何者かに襲撃される事件が発生。膝を殴打され負傷したナンシーは全米選手権欠場を余儀なくされる。
トーニャの元夫ジェフ・ギルーリー(セバスチャン・スタン)の指示による犯行と判明し、トーニャ自身にも疑惑の目が向けられた。
一度は栄光を掴みアメリカ中から愛された彼女のスケート人生は、この事件を境に一変し、転落していく。
アメリカ女性フィギュアスケーター初のトリプルアクセルに成功し大人気女性フィギュアスケーターになるが、リレハンメル・オリンピックの出場権をめぐりライバルのナンシー・ケリガンを襲撃した事件の主犯とされ、一躍世界中から嫌われたトーニャ・ハーディングの数奇な人生を描いた映画。
トーニャにフィギュアスケートを教え込み金と名声を得るフィギュアスケーターにするために、絶対に誉めずモラハラパワハラ的に常に罵倒し、フィギュアスケートのコスチュームを手縫いし高校も中退させた鬼母ラヴォナと母ラヴォナに褒められたくて愛されたくてフィギュアスケートを続けてきたトーニャの、愛憎に満ちた歪んだ母子関係。「アメリカの家庭的で理想的な女性像」を押し付け、トーニャがトリプルアクセル出来ても不当に評価を貶めてきた全米フィギュアスケート委員会と派手なメイクにヘビメタをバックにトリプルアクセルを中心とした派手なフィギュアスケートで全米フィギュアスケート委員会に反抗し続けたトーニャの泥沼の対立関係。傷つけ利用し合いながら、腐れ縁を続けてきたトーニャとジェフの、似たり寄ったりの育ち同士の関係。
そして、トーニャとジェフの言い分が、真逆の「ナンシー・ケリガン襲撃事件」の真相。
そしてその顛末に深く関与したジェフの友人ショーンたちの、バカでクズな素顔。
マーゴット・ロビーが、プロのフィギュアスケーターについて特訓した鮮やかなフィギュアスケートシーンの数々も素晴らしく、がさつで傲慢で愛と名声を追い続けたトーニャ・ハーディングが歪んだアメリカ底辺女性の成り上がりストーリーそしてアメリカンドリームの戯画に見えていとおしくなる熱演、トーニャの運命を狂わす鬼母ラヴォナを怪演したアリソン・ジャネイのゴールデングローブ賞受賞も納得の演技、キャプテン・アメリカの親友バッキーと真逆のクズでDV男性ジェフを演じたセバスチャン・スタンの演技も見事で、ブラックなヒューマンドラマ映画として楽しめる。
daiyuuki

daiyuuki