なー

アイ, トーニャ 史上最大のスキャンダルのなーのレビュー・感想・評価

4.0
アメリカスケート史上最大のスキャンダルを皮肉とユーモアを混ぜて描いた作品

序盤から観ていて苦しかった。というのもトーニャの苦しい生い立ちの元凶である母親のどうしようもなさが、これでもかとばかりに強烈に描かれていたから
貧しいなりにトーニャのために稼ぎをスケートに費やしてあげたり、勝つために厳しくしている部分から愛情がないわけではないが、彼女の愛は歪んでいた
いや、もしかしたら愛ではなくトーニャは自身の勝利欲を満たすための代わりの器でしかなかったのかもしれない
暴言暴力の嵐には彼女に対する嫉妬も混じっているようにも見て取れた

一方のトーニャも成長するにつれ母の仕打ちの影響から愛情を欲し、冴えない貧乏な男に溺れてしまう
暴力への慣れの虚しさ、強烈な承認欲求、短気さ
貧しい環境で親の愛を欠いて育った子は悲しいことに親と同じような性質を引き継ぎ、負の連鎖は続いていく

アメリカ人の英雄主義は裏を返すと共通の敵を作る集団心理であり、トーニャは光を輝かすための影として踊らされていたという姿は実に上手く描かれていた
なー

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