なー

ベルファストのなーのレビュー・感想・評価

ベルファスト(2021年製作の映画)
4.0
ケネス・ブラナーの経験をもとに紡がれるベルファストという一つの家族の物語

家族と地域の人たちの愛を受けて育ったバディの生活を紛争が分断
子どもが理解するには難しい問題だけど、確実に暴力の陰が一家にもさしかかり、無邪気に走り回って、好きな女の子に近づくために勉強したりするなんてことのない日常が転換していく

僕は生まれてから10年以上過ごした街を出て、田舎でしばらく生活した後、今は東京にいる
生まれた街の友人とは疎遠になり思い出は薄れ、移った街に実家はあるけど地元という感じはしない
正直故郷やローカルな繋がりというものを知らないから、故郷に執着する気持ちが分からない
周りがみんな知り合いっていうのも息が詰まりそうって思ってしまう

でもバディたちにとってはこれが生き方で、貧しくとも人々との繋がりで豊かなこころを持って生きていられる
結局大きな波には逆らえず故郷を出ることにはなるんだけど、当初は否定的だった母親は最終的には頭で理解して受け入れた一方、子どもの目線で描かれていることによって、変化を頭ではなく心で受け止める姿が描写できている

自分の子どもに「あの子と結婚出来るかな」って訊かれたら、僕はなんて答えられるだろう
少なくともあんな素敵な答えは出てこない
ちなみに僕の父親は、金曜ロードショーの『耳をすませば』で、聖司が雫に結婚しようと言っているシーンを観てドキドキしている僕を尻目に鼻で笑ってました(ひどくない?)

主義・思想が違うとその人そのものを否定してしまいがちだけど、そこはリスペクトを持って受け入れれば共に生きていける...と
ベルファストの人たちは寛容だったんだね
なー

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