Kana

アイ, トーニャ 史上最大のスキャンダルのKanaのレビュー・感想・評価

3.0
1994年、メディアを賑わせたあるフィギュアスケート選手の過激で波乱万丈な半生を描いた物語。
インタビューと回想というドキュメント仕立で映画は進む。
トーニャはバカ。
ジェフはクズ。
ショーンはサイコパス。
母親は…全ての元凶。
だからってトーニャに責任がないとは言えない。
子供じゃないんだから何が正しいのか考えることは出来るし、例えどんな境遇で育ったとしても生き方を変えることは出来る…はず。
でも不憫すぎる…。
才能を持って生まれ、それに見合うだけの努力をしてきたのに、彼女を応援し支えたスタッフたちは、私生活で彼女に悪い影響を与える者たちを取り除こうとはしてくれなかったんだろうか。
あの母親や夫、自棄的な彼女の性格は、呪いのように思えた。
とは言え、映画はかなりトーニャに同情的に作られていたから、本当のところ何が真実かはわからない。
ただどこまでが事実だとしても、人間の持つ無意識のバイアス、偏見や差別というのは無くならないのだろうなと悲しくなりました。
メディアが代表選手を報道するときには明らかに実力とは異なる優劣があるのに、まるでさも平等のようなふりをしている薄ら寒い現状がある。
実際のトーニャは思っていたよりもずっと不細工で品のない雰囲気で、生い立ちや美しさや世論がどこまで採点に影響するのかわからないけれど、人間が評価する限り、それが全く影響しないなんてことはありえないわけで。
批判に晒されても世界の舞台に立ち、全てをかけたものを奪われても戦うことを諦めず、逆境に立ち向かい続けた彼女の勇気と強さは賞賛に値すると思います。
Kana

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