MasaichiYaguchi

ピーターラビットのMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

ピーターラビット(2018年製作の映画)
3.8
ビクトリアス・ポターの原作よりワイルドでシニカルだけど、ピーターラビットの歌や踊り、愛くるしい表情や仕草、そして何と言っても「もふもふ感」が最高で、この映画を観てウサギが飼いたくなった人が続出しそうな気がする。
世界遺産にも登録された美しいイギリス湖水地方を舞台に、ピーターたちウサギをはじめとして、様々な鳥たちやキツネや豚、ハリネズミやトナカイ等の個性溢れる動物たちの愉快な暮らしぶりが描かれていくが、そこに都会から闖入者がやって来て騒動が持ち上がっていく。
この作品では、ピーターたちを巡って対照的なものが登場する。
ピーターたちの母親代わりの存在で自然と動物を愛する画家のビア、動物嫌いでロンドンの高級百貨店に勤めていたが上手く行かずに都落ちしてきたトーマス・マグレガー。
ビアの隣人で家庭菜園を荒らすピーターたちを目の敵にする偏屈なマグレガーおじさんが急死したので、唯一の血縁者として相続する為にトーマスが引っ越して来たのだが、この登場がビアとピーターたちの生活に変化をもたらす。
以前のおじさん以上にピーターたちを害獣扱いする若きマグレガーは、母親のようなビアさえも自分たちから奪いそうで、意を決して彼らは行動を起こしていく。
ただ彼らの行動は火に油を注ぐようなもので、事態はエスカレートしていき、やがて取り返しのつかないことを招く。
この作品を観ていると、都会生活と長閑な田舎生活との対比だけでなく、人は如何に動物や自然と共生していくかということを考えてしまう。
丹精込めた菜園が野生動物に荒らされたらショックだろうし、ましてや生活に直結する農園だったら死活問題になる。
そういう中で野生動物を如何に害獣にしないで共生するかというのは難しい問題で、本作で描かれた結末はファンタジーかもしれないが、動物好きの一人として夢見たい。