GT

犬ヶ島のGTのネタバレレビュー・内容・結末

犬ヶ島(2018年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

日本が舞台のストップモーション・アニメ。犬の伝染病が流行し、犬が迫害される社会にて、犬たちとアタリ少年の冒険を描く。
緩いともシビアともとれる、非常に独特な世界観というか雰囲気が最大の特徴。犬たちの置かれた状況は非常に過酷で、ともすればシリアスになりかねないシナリオなのだが、シュールでとぼけたような雰囲気は作中一貫しており、あまりエネルギーを使う事なく視聴する事ができる。日本が舞台ということもあり、作中には日本文化や日本語がふんだんに使用される。日本人の我々から見ると、明らかに「西洋の人が想像した日本像」的な部分が(恐らく意図的に)用いられており、「ふふっ」と笑える事間違いなし。完成した血清をビーカーに入ったまま乾杯して一本締めするシーンが滅茶苦茶すき。「メガ崎市」や「ウニ県」「メイジャー・ドーモ」といったふざけたようなネーミングも良い。海外の人から見ると、この名前はどう見えるんだろうか。
雰囲気だけでなく、ストーリーもしっかり楽しい。犬たちの声がやけに落ち着いていて渋いのが面白い。初めはアタリ少年に冷たかったチーフが、時間をかけて仲を深めていく様は、王道ながら胸が熱くなる。チーフとアタリが探していた護衛犬であるスポッツが、実は兄弟同士だったという展開も良い。いい具合に少年心をくすぐってくれる感じだ。犬たち迫害の犯人である小林市長が簡単に改心したり、戦いで傷ついたスポッツが死んだと見せかけて最後には生きていたりと、ハッピーな方向に振り過ぎていて些かご都合主義を感じないでもないが、子供でも大人でも楽しめると考えればそれもヨシなのか。
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