複数視点による多重奏劇は成功
警察の本格的捜査、記者のドキュメンタリー映像、実際の島における動き、記者へのネット中傷、〝最終的”実行犯の足取りなど効果的に交錯させ、視聴者を上手く手玉に取った作品。
メインは記者とカメラマンのドキュメンタリー映像。
勝手に敷地家屋侵入するその図々しい取材法にはこちらが嫌悪を抱くほどだが、「奴隷労働疑惑の塩田小島」に潜入してからは逆に応援基調にさせられてしまう。
そして知能障碍者への暴行疑惑ということで警察に島に来てもらい、被害者勤務の塩田所有者宅で実地検分を行うが、社長親子に疑惑がかかるものの証拠不十分、かつ警察との癒着もありそうな雰囲気もあって検挙まで至らず。
逆に社長親子から脅迫され身の危険を感じ島をいったん離れることにするが、実は別の殺人事件容疑者がなりすまし潜伏しており、関係者を巻き込んだ大惨事となる・・・。
といった内容。
視聴感は上手くだまされてしまった、という感じですね。
見ていて決して気持ちよくも面白くもないけれど、展開の見事さ(その他テクニックも含め)にはポイントをつけないわけにはいきません。
島の漁業民や老婆、塩田工場の社長親子、従業員など完全になりきっているように感じられ、ああいった事件が起きそうな素地がプンプン臭ってきた(臭わされた)のも確かなので。
ラストどんでん返しアイデアの元になるような先駆的映画が存在するかもしれませんが、そうであったとしても映像に引き込まれ、見事に騙されてしまった私には抗弁する余地はありません。ウーン少し悔しいね(笑
総評四つ星
※知的障碍者塩田奴隷労働は実際あった事件とのこと
002007